リサーチフォーラム in 大阪2 「造形遊びの再布置化に向けて
2025年10月15日 04時41分 [WEB担当]本フォーラムの起点となる永守基樹氏による論考『造形遊びの再布置化に向けて:基礎教育の視点から美術教育課程を構想する』は,下記のグーグルドライブに順次アップロードを行います。
https://drive.google.com/drive/folders/1sB9vrROy95vL2A5pFpp2tOL-NwOupL3t?usp=drive_link
1. 趣旨
造形遊びはいま,迷子になっている。【いま,ここ】での遊びに夢中になるあまり,来た道と往く先と還る場所を見失い途方にくれている――このように書くと,いささか論争的に過ぎるだろうか。
モダニズム美術教育の最終形態である造形遊びが登場してから間もなく半世紀。斯学における実践と研究の重心的なテーマであり続ける造形遊びは,時代を経てなお,その意味と価値を新たにしている。探求的な学び,問題発見・解決のプロセス,対話と協働……造形遊びは現代の学習観を先見していたかのようですらある。
しかしそこには,【いま,ここ】への閉ざされという陥穽があるのではないか。学習者中心主義の過剰なドライブは,造形遊びの全てを子どもの本性に帰すことにつながり,その歴史性,美術文化との接続,諸理論・思想との連関,教えの可能性,方法論の体系化,カリキュラム論からの検討,等々を恣意的に不問にしてきたのではあるまいか。【いま,ここ】での遊びと学びへ全人的に没入する造形遊びは,時間の潮だまりのなかで「ほんとうの子どもの姿」や「普遍的な創造のよろこび」を仮構し,永く微睡んできたのかもしれない。
本フォーラムでは造形遊びを歴史意識のなかに開いていくために,永守基樹氏による論考『造形遊びの再布置化に向けて:基礎教育の視点から美術教育課程を構想する』を基盤としながら,各登壇者による批評的な応答を用意する。氏の論考に対する美術教育史的観点および美術教育思想史的観点からのレビュー(第Ⅰ部)と,再布置化に向けた実践的提案(第Ⅱ部)によって,ともすれば理念の対立に行き着きかねない造形遊びという巨大なテーマを解きほぐし,参加者と共に迷路の出口を探す機会としたい。なお、本フォーラムは,金子一夫氏企画・前期リサーチフォーラム(2025年7月12日 同会場で実施)と“戦後美術教育”を結節環とした連動企画である。
2. 登壇者と発表題目
【基調提案】
永守基樹(和歌山大学名誉教授) 「造形遊びの再布置化に向けて」
* 基調提案のベースとなる論考は上記ドライブおよび下記Peatixに順次掲載します。
【第Ⅰ部】
金子一夫(茨城大学名誉教授・特命研究員) 「美術教育史的観点からの批評」
清家颯(東京学芸大学特任講師) 「美術教育思想史的観点からの批評」
【第Ⅱ部】
鷹木朗(京都芸術大学特任教授) 「60-70年代アートの題材化・実践事例:造形遊びの再構成」
北野諒(高知大学講師) 「参加型アートの題材化・実践事例:造形遊びの拡張」
菊地虹(立教大学博士後期課程) 「ABRとリフレクション:造形遊びの新たな学習モデル」
■日時 2025年12月20日(土)13:00~17:30 (zoomによる同時配信を行います)
■会場 サクラクレパス本社 4F研修室 (大阪市中央区森ノ宮中央1-6-20)
■参加費・定員 無料・会場参加50名まで
■問い合わせ先 ryokitano@kochi-u.ac.jp (北野諒・高知大学)
■申し込み方法
参加種別にご留意のうえ,下記のPeatixから12/12(金)23:59までに申し込んでください。
【会場参加用】 https://peatix.com/event/4543155/view
【配信参加用】 https://peatix.com/event/4543186/view